【教育機会確保法】
文部科学省は、昨年10月29日、2024年の不登校の小中学生が、過去最高の35万3970人(小学生13万7704人、中学生21万6266人)になったと公表しました。これは、小学生が44人に1人、中学生が15人に1人の割合です。文科省は、無理に通学する必要はないといった保護者らの意識変化が不登校増加の要因とみています。
この事態を受け、文科省は2016年(平成28年)に、「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」を定めました。これは、不登校は誰にでも起こり得ることであり、不登校というだけで問題行動であると受け取られないように配慮すると共に、学校に登校するという結果のみを目標とせずに、子供たちが自分の進路を主体的に考えられるようにすることを後押しするため、子供たちや保護者の意思を大切にしながら民間機関等とも連携して支援できるようにと定められた新たな法律です。
この日本国に生まれた子供たちは、等しく皆、仕合せ、幸福な人生を歩めるように、憲法において、様々な権利が与えられることを保障されています。しかし同時に、成人した後は、国家・社会を支える一員となって、勤労及び納税の義務を背負って生きて行くことを期待される存在です。学校とは、子供たち一人一人が、そういう大切な存在として社会で生きるために必要な基本的な資質を養うことを目的としています。
今、学校も、すべての子供たちが安心して学校生活を送れるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談しやすく、いじめ、暴力行為、体罰等を許さない学校づくりを推進しています。しかし、学校に行くことができない、また学校に行かない児童・生徒が増え続けている現状に対して、学校以外の場所で行う多様な学習活動の重要性について示し、その機会の提供等を規定するために作られた法律です。
すなわち、今、社会は、不登校そのものをなくそうとするだけでなく、15歳までの子供たちが、社会の一員として生きるための基本的な資質を養えるように、学校以外の場所も連携・活用しながら、子供たちの教育の機会を確保していく体制を整えることへと、大きく舵を切り替えているのです。
【不登校によって子供たちが被るデメリット】
学校は、子供たちに大きく3つの資質を育てる環境であると、私は考えています。
1つめは、社会の一員として生きるために必要な基礎的な学力を身に付ける場所であるということです。
今、高校の無償化が叫ばれているように、子供たちが社会の一員として自立して生きて行くためには、何らかの形で社会に貢献し報酬を得ながら、自立した経済生活を送ることが必要です。そのために、いろいろな資格を取得する必要に迫られることもあるでしょう。その時、基礎となる学力はどうしても必要です。そのためにも、最低でも高校に進学し、卒業できるための学力を身に付けさせていくことが、小・中学校に課せられた大きな使命であると考えます。
2つめは、人と違う自分の良さに気付くことです。
人は皆、それぞれの家系の中で、親、先祖から様々な特質を受け継いでこの世に生まれてきています。言いかえれば、一人一人、持っている良さが違うということです。そして、その良さの特質は、必ず、自分が生きて行く上で出会う、誰かの弱点を補い、高めて行くものです。ちょうど、自然界に存在するすべてのものが、互いに補完し合いながら、淘汰されることなく、この世に存在し続けている姿と同じです。自分の特質が、縁ある誰かの役に立つものであれば、自分の人生はその終日まで、誰かに必要とされる存在となると言えます。まさに、それこそが「生きる」ことなのだと思います。よって学校とは、人とは違う自分だけの特質について気付くために必要不可欠な環境であると考えます。
3つめは、様々な体験を通して、人や社会との関わり方を学ぶことです。
不登校の子供たちにとって、人や置かれた環境とより良く関わることは大きな壁であることと思います。しかし、それらとより良く関わることこそが、自分の人生を、真に喜びと生きがいあるものにしていくことになります。学校とは、社会に出た時に、人や置かれた環境とより良い関係が築けるように、教師が適切に関わることで、様々な体験を良き経験としていけるように、その関わり方を学ぶ場であると考えます。
子供たちが被るデメリットとは、日本国憲法が一人一人に保障している、人生において、自分の良さを人や社会に生かし、生きがいと喜びを感じながら、豊かな経済生活を送るために必要な基本的な資質を育む権利を、子供たち自身が放棄してしまっていることにあります。
【もう一つの学校】
教育を受ける権利を子供たち自らが放棄していると言いましたが、その原因を作っているのは、教育を受けさせる義務を果たし切れていない保護者と、その現実を放置してしまっている学校、及び国や教育委員会、言いかえるならば、子供を取り巻く大人にあるのだと考えます。ただ、学校に行けない、また行きたくないという子供たちに、直接向き合っているのは保護者であり、その現実を克服できないでいるのが実情なのだと思います。
すでに10年も前から、教育機会確保法という法律が作られ、学校や教育委員会が積極的に民間施設等と連携を図りながら、子供たちに教育の機会を与えられるよう努力すると示されていても、その取り組みは不十分です。また、様々な情報を学校の方から保護者に伝えていく努力もあまりなされているとは言えない現状です。
本フリースクールは、「教育機会確保法」の趣旨に則り、不登校の子供たちが、将来、仕合せな人生を歩めるように、15歳までに身に付けるべき基礎的な資質を養うための環境を提供する、「もう一つの学校」です。
不登校で悩む地域の子供たちの未来がより良いものになるように、微力ながら力を尽くしてまいります。お悩みの方は、ぜひご連絡いただけるようお待ちしています。
